土木デザイン設計競技 景観開花。2017

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株式会社 東京建設コンサルタント

東京建設コンサルタントは、1960年の創業以来、総合建設コンサルタントとしてさまざまな分野で実績を積み重ねてきました。そして、先端な技術者集団として、常に業界をリードしてきました。

二十一世紀を迎え、ますます地球温暖化、人口問題、資源の涸渇が深刻化しています。人類が安全・安心で豊かな生活をするには、これらの問題を避けて通ることはできません。私たちは、このようなグローバルな視点で公共事業に取り組んでいます。

わが国でも、さまざまな環境問題が顕在化するなか、地震・津波、豪雨などの災害に強い国土づくりが緊急的な課題となっています。

当社は、これらの地球環境問題や防災に確実に対応するため、本社組織である環境防災本部、環境モニタリング研究所、地域環境本部を日々充実させています。また、春日部市に“かすかべ環境防災研究センター”を建設中です。

過去、営々と整備されてきた大量の社会資本ストックの老朽化が顕在化し、社会問題化しています。当社は、既設構造物の長寿命化を図り、最適な維持管理計画を提案するため、ライフサイクル本部を拡充し、万全の体制としました。

更に、公共事業を取り巻く環境がますます厳しくなるなかで、事業化段階における住民参加と地域合意形成、発注者支援のためのCM、PM、民間資本導入支援のためのPFI/PPPなど、新たな事業執行マネジメントにも積極的に取り組んでおります。

建設コンサルタントに求められる役割は確実に大きくなってきており、決してとどまることは許されません。

東京建設コンサルタントは、「次代への構想〜Design for Next Age」を事業方針に掲げ、先人たちが築き上げてきた歴史や風土を真摯に学び、そして知恵や技術を確実に受け継ぎ、常に時代の先端に立ち、培った高度な技術サービスを通じて、安全安心で、豊かで潤いのある社会資本整備に貢献してゆきます。

「白神の自然と人が出会う優しい新風景づくり」 —津軽ダム—

グッドデザイン賞2017 受賞

津軽ダムは、世界自然遺産白神山地の玄関口に位置する多目的の重力式コンクリートダムです。一貫した検討体制・デザイン思想のもと、 “白神の自然と人が出会う優しい新風景づくり”を目指して、堤体や関連諸施設のトータルデザイン、 ビューポイントや動線配置等により、ダムと白神山地の織り成す風景を楽しめる空間を創出したことが評価され、直轄ダムとしては初のグッドデザイン賞を受賞しました。

地域の暮らしを守る土木構造物としての役割に加えて、来訪者にとって楽しく親しみやすい場所を提供することをさらなる目標と位置付け、景観検討を行いました。景観検討にあたっては、構造物の形状の乱雑さの低減や法面の緑化修景といった風景へのマイナス要素を極力取り除くことにとどまらず、印象的な視点場の創出とそこへのアクセス動線の確保を行うことで、来訪者の体験にとってプラスを提供できるように検討を進めました。結果、ダム堤体は、張出テラスとなる曲面状のピアを並べるデザインとし、ブナ・ミズナラ林の柔らかく優しいイメージとの調和を図りました。また、放流を見上げられるバルブ室屋上の眺望スペース、ダム湖を見下ろす取水設備上屋の歩廊、堤体下流左右岸をつなぐ橋梁などが実現しました。 白神山地を訪れる人がついでに立ち寄るところにとどまらず、近年のダムツーリズムの機運の高まりに乗って、ダムサイト自体が来訪の目的地となるような場所となってほしいと考えています。

津軽ダム全景

津軽ダム下流面

津軽ダム下流面のピア形状

「水門デザインの新たな可能性」 ―月浜第一水門設計―

土木学会デザイン賞2016 奨励賞受賞

月浜第一水門は、周辺には選奨土木遺産である福地水門など歴史的名構造物群が点在する新北上川河口部において、当地独特の広大なヨシ原を代表とするのびやかで雄大な風景の中に建設された大規模水門です。

これらの風景や周辺水門との調和を図るため、(1)朴訥としたフォルム:門柱を中空構造とすることで、煩雑な管理・付属施設を内部に納め、門柱のみが強調された直方体に近い形状とし、門柱のフォルムを徹底的に単純化(2)機能の表現:周辺にある選奨土木遺産水門群の特徴である素朴さ(=ゲート開閉メカニズムの可視化)を継承し、メカニズムの要である油圧シリンダーを明示的するデザインを実現(3)ディテール:維持管理用足場の折りたたみ式の採用や、門柱上転落防止柵の四隅のコンクリート壁化などディテールデザインにおいても素朴な直方体の印象を追求 など、高度な技術的課題をクリアした挑戦的な造形デザインを実現しました。

月浜第一水門全景

月浜第一水門正面景

「既設公園と湖岸堤の一体設計」 —福島潟河川改修事業—

土木学会デザイン賞2016 奨励賞受賞

本事業は、福島潟湖畔にある観光・交流施設「水の公園福島潟」(観光客数年間約30万人)の自然学習公園内での湖岸堤の整備です。そのため、築堤することによる公園利用者や観光への影響の抑制、公園の美観の維持、河川環境の整備・保全などが求められました。そこで、以下のような景観や環境への配慮などに取り組むことで、周辺環境とも調和した景観デザインを行いました。

(1)福島潟河川改修事業における環境保全対策の方針を実現する

湖岸堤の整備は、福島潟内の掘削土を再利用するとともに、堤防の表面には現地で発生した土を用いることで、元々の自然植生の回復を図った。

(2)ビュー福島潟の利用と景観に調和するデザインとする

堤防法線を既存計画から変更した。緩傾斜堤防とすることで、圧迫感の軽減を図り、公園の利用に配慮した。

(3)関係機関との協議により地元の意見・要望を取り入れる

潟来亭の周辺空間の利用スペースを確保した。堤防を越えているという感覚を与えないデザインとした。福島潟から見える五頭連峰の風景を活用した。キャンプ場にある高木を保全した。

(4)施工時に利用・環境に配慮する

各種イベントの開催に配慮した。

「水の公園福島潟」に溶け込んだ湖岸堤